大学通りでみつけた”お香”

(花のお香立てもついていました)

 ”かおり”というものは目に見えないし、形もないものだけれども、
ふとした瞬間に「あ、あの時と同じかおりがする・・・・」と思い出せるから、
脳のどこかに記憶されているのでしょう。
いつもの石けん、いつものシャンプー、コーヒーや紅茶の香り、炊き上がったごはんの香り。
私たちは毎日、様々な香りに囲まれて暮らしているけれど、
誰にでも自分だけの、特別な香りの記憶があるのではないでしょうか?

そんな事を考えたのは、”お香”のかおりで、ずいぶん前に訪れた京都のお店を思い出したからです。
(細かいことは憶えていませんが)京都独特の茶色い格子戸。すこし薄暗い店内と、そこに立ちこめたお香のかおり。
「あ、あの香りだ。」と思いました。
目の前に、さっき見たように映し出される光景に、あれは何年前の事だったかと、胸がしめつけられる思いがしました。

思えば人間の記憶とは、何と不思議なものなのでしょう。
365日、毎日いろんな物を見ているけれど、ほとんどの事は忘れてしまい、
その中で脳にインプットするものは、自分では選べない。
自分でも何で憶えていたんだろうと、首をかしげたくなりました。

忘れたいのに憶えていたり、大切な事を忘れてしまったり。
例えば80才になっても、私はこの香りを憶えているんじゃないかと思いました。

小さなかわいい木箱に入った、寺町通り鳩居堂のお香は、
国立駅からまっすぐのびる”大学通り”の紀伊国屋でみつけました。